鏝絵(こてえ)取り外し作業
築120年の土蔵造りの蔵を取り壊すにあたり、
妻面に付いている鏝絵を取り外すとのことで、
お手伝いに行って来ました。
鏝絵とは左官職人さんが、
お家の繁栄を願って思い思いに漆喰で塗り込めたレリーフのこと。
愛媛県内には恐らく1000ほどの鏝絵があるといわれていて、
多くは農村集落に見られるそう。
図柄は様々で、
龍、鶴亀、のぼり鯉、七福神、ネズミやウサギ、などの縁起物や、
時代の流行や、その家の縁のモノなど。
今回取り外した鏝絵は、
波乗りしたウサギ、『波兎』と呼ばれる図柄でした。
作業は、外から中から並行して行われました。
鏝絵の周囲余白をとった部分に切り込みを入れ、
土壁の竹小舞が見えるまで少しずつ土壁を削り、
竹小舞を切り離し、鏝絵を取り外す、という。
なんか、文章にするとめっちゃ簡単そうに聞こえるんだけど。。。
いやいや、土壁の土埃りにまみれながら、
鏝絵にヒビを入れないように慎重に慎重に、
この神経の使う作業。
そして竹小舞ごと壁から切り離した後が大変。
直径約70㎝、厚み10㎝ほどですが、
土壁がずっしり残った鏝絵は、
男性大人4人で抱えてもやっと。
(↑ ここ、私は見守る係。)
外側で慎重に受け取って、
そぉっっっと養生しながら下し、
さらに足場の上からも下に下す作業は、
皆さんの力をかりてようやくです。
力仕事は出来ない分、
廻りで出来る限りのフォローをさせて頂きました。
そして鏝絵が取り外されたときの感動といったらもう!
取り外された鏝絵は、
家主さんのご希望で今後きれいにして保管される予定です。
私たちが生まれる前に建てられた建物でもまだまだ丈夫、とはいえ、
いろいろな理由があって、残すことが難しいことが多いです。
壊されてしまうことは残念なことではあるのですが、
このような形で保存されることは本当に嬉しい。
そして、ヘリテージマネージャー養成講座がご縁で、
このような保存作業に携わることが出来たこと、
本当に貴重な体験をさせて頂きました。
感謝です。
ありがとうございました。
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